熱望されている永久脱毛
いちばん大切なのは最初からそんな事態に陥らないようにすることである。
執刀する医師に眼の手術はこれまで何件こなしてきたか、どれくらい研修を積んだかを、はっきり質問するといい。
質問に対して医師があいまいな態度をとったら、サングラスをかけてクリニックをあとにしよう。
オープン式鼻整形鼻整形は顔の手術のなかではもっとも一般的なもののひとつだが、患者が鼻の手術に対して抱く不安は現在でも小さくない。
無理もない。
大きすぎるのが悩みの鼻をなくしてしまうとなると一大事である。
鼻をいじることにより、顔全体の印象がたちまち取り返しがつかないほどに激変してしまい、医師任せにしておいたためにそれまでに比べてひどい顔にならないともかぎらない。
そのうえ、鼻が曲がったり、てっぺんが上向きになったり、ぎゅっとつまんだような形になったり、はたまた呼吸ができなくなるかもしれないと患者はいろいろ心配する。
鈎鼻を直してすっとさせるにせよ、幅が広すぎる鼻を細くするにせよ、私は同じ手術方法を用いる。
オープン式鼻整形と呼ばれるこの術式は、時間はよけいにかかるが、そのぶん調節がきき、よりよい結果が得られると私は考えている。
まず鼻の土台部分にメスを入れて、皮膚の大部分を引きはがす。
軟骨を切り硬骨をやすりで削って小さくしたり隆起部分をなくしたりしたあと、鼻中央部の軟骨組織の処理にかかる。
鼻骨の位置をずらす、鼻筋をまっすぐにする、幅をせばめる、いずれの場合も鼻を大々的に切り開かなければならない。
そのため、手術後はリングでノックアウトされたボクサーのような顔になる。
優雅な手術ではない。
とくにデリケートなのは鼻のてっぺんである。
たいていの人は加齢とともに、鼻の先がみっともなく垂れさがりはじめる。
それをまた元の位置に引きあげるため、私は軟骨移植と呼ばれる術式をよく用いる。
鼻の異なる部分、あるいは耳から軟骨を取り、それを鼻のてっぺんにもってきて支柱がわりにする。
傘のてっぺんがナイロン地を支えているのと同じ状態をつくるわけだ。
鼻の手術は簡単ではなく、他の医師による失敗例を目にすることも多い。
それまでに鼻に五度の手術をくり返してきた女性を手がけたことがある。
スノーモービルの事故で鼻を複雑骨折した患者で、どの医師の手術もうまくいかなかった。
私のところに来たとき、彼女の鼻は平らに近いほど低くなっており、幅を細くしたうえに高くするほかない。
きわめて長時間にわたる手術となった。
医師によっては軟骨や硬骨を切除しすぎたり、鼻を左右非対称な形にしてしまう場合があるが、そうしたことが起きる原因は、たいていの医師がクローズド式鼻整形と呼ばれる術式を用いているからである。
この場合、メスは鼻の内側に入れる。
そして皮膚の裏側を見ながら、適切な分量の硬骨や軟骨を除去できることを祈りながら作業する。
オープン式による切開はこれに比べて複雑ではあるが、厳密さという点では比較にならない。
フェイスリフトの適正な引っ張りぐあいいつかはボトックス注射だけでは不じゅうぶんになる。
四十代あるいは五十代のあるとき、鏡のなかからこちらを見ているのが誰なのかわからなくなることがある。
あるいは鏡を見るのをきっぱりやめてしまう人もいる。
鼻唇溝の深いしわや額のしわ、すっきりしない顎の線、たるんだ首を見るのが不愉快だからだ。
こうした悩みをすべて注入式医薬品で解消することはできない。
そればかりか、六か月ごとに注射に通うのは莫大な費用と時間がかかる。
手術をすれば、その下にある筋肉をぴんと張ってから皮膚を元どおりにかぶせ、鼻唇溝のしわの原因である頬の脂肪組織を元の位置まで引きあげてしわを目立だなくすることができるというのに。
フェイスリフトは奇跡を起こすしかるべき医師が執刀した場合はそうした悩みをすべて一度で解決する。
だが、あまりうまくない医師にかかった場合、こうむるダメージは半端ではない。
眉のあたりがたるみ、皮膚が奇妙に引きつり、さらに最悪のケースでは永久的な神経系統の損傷のせいで、笑えない、自然な表情がつくれない、眉を上げられない、ストローが吸えないといった後遺症が残ることもある。
どんな手術にも、たとえ最高の腕をもつ専門医が執刀しても、それなりのリスクは必ずある。
感染症にかかることもあれば、麻酔薬に対して予期せぬ反応を示すこともある。
可能性がいくら低かろうとリスクは存在する。
むろん、患者は自分にそんなことが起きるとは思いたくないはずだ。
だが起きることもある。
フェイスリフトに関していえば、ひとつの術式がすべてに適応するということはない。
業界で優位に立たんがために、小さな傷痕しか残らないフェイスリフト、ミニリフト、あるいはまた時間のかからないランチタイムーリフトの手法を完成させたと吹聴する医師がいるが、どの医師もほぼ同じ術式を用いているのが実情である。
修正箇所が多ければ、切開部も大きくせざるをえない。
その顔にはどんな修正が必要かを正確に読み取るのは簡単ではない。
そこで美的センスがものをいう。
最初の相談は患者がいろいろ質問するためだけにあるのではない。
医師側も患者を注意深く観察しながら、どの術式を用いたらよいかを考えつつ重大な結論を下す機会でもある。
皮膚の引っ張りかたが足りない医師による手術結果は、適度に引っ張る医師の結果よりも見た目は落ちるが、引っ張りすぎる医師による手術は最悪の結果をもたらす。
それを着眼点にして医師の差を知るといい。
開業したてのころ、私はいまほどきつく皮膚を引っ張らなかったが、長年の経験から傷が癒えたあとにほんの少したるむことを学び、さらには、傷痕が汚くならないように、あるいは引きつった顔にならないようにするためにはどの程度引っ張ったらちょうどいいかの頃合いを知った。
患者がそうしたことをすべて理解できないのは当然である。
できるはずがない。
つまるところ、医師を信用するはかない。
患者が私の説明や前例写真やこれまでに同じ手術を受けた患者の話に基づいて私を選んだとすれば、私がその人の顔を若く、元気そうに、それでいて自然な印象に風洞から出てきたばかりのように引きつって歪んだ顔ではなくしてくれると信頼して任せてくれたことを意味する。
患者が最初の診察でクリニックを訪れると、私は鏡を差し出してこういう。
「さあ、よく見てください、どこが気になりますか」そして患者の言葉に注意深く耳を傾け、気になる部分が私に修正できるかどうかを告げ、できるとしたら、どんなふうにするのかを説明する。
典型的なフェイスリフトの患者SMは五十八歳、妹のCは五十六歳。
チャーミングで教養もあり、愉快で、はっきりものをいう姉妹がある日私のクリニックにやってきて、どんな修正ができるか話しあった。
「私はあちこちつまんでほしいんです」とSM。
「最近、なんだか疲れているように見えてきたんです、健康状態は良好なんですけれどね。
エクササイズはつねにしていますし、タバコも吸いません。
飲んでいる薬は抗僻剤だけです」私は目を閉じて額の力を抜くようにいった。
しんと静まり返った診察室で私は彼女の顔を数分間丹念に観察した。
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